第9戦 1-1 レポート

KINAN COUPE DE AACA 第9戦 雨中のアタック合戦を野中竜馬が逃げ切りで制する

 

KINAN COUPE DE AACA 9戦 112.2km(5.1km × 22 周回)

 

text&photo:Syunsuke FUKUMITSU

 

東海地方のロードレースシリーズ「KINANCOUPE DE AACA」は9月18日、2016年シーズン の第 9 戦を岐阜県海津市の国営木曽三川公園 長良川サービスセンター前特設コースで開催。メインレースの 1-1 クラス(112.2km、5.1km × 22 周回)は、降りしきる雨の中で 終始アタックの応酬となった。最後は、レース終盤に抜け出した KINAN Cycling Team の野中竜馬が後続の追い上げをかわして逃げ切り勝利。これにより、全戦のポイントで争うシリーズ総合順位でも首位を行く野中がリードを広げている。

8 月に開催された第 8 戦は、残念ながら 1-1 クラスがキャンセル。2 カ月ぶりのメイン レース実施となった。また、今回も台風 16 号の影響で天候が心配されたが、雨が降る一方で、風は穏やかだったこともありレースに支障をきたすことはないと判断。予定通り実施された。コースはスタート・フィニッシュライン前後に小さな上りと下りがあるが、それ以外はオールフラット。レース距離に関係なく、毎回スピード感のある勝負が展開されるのが特徴だ。

 

 

ホストチームであるKINAN Cycling Teamは、阿曽圭佑、伊丹健治、阿曽光佑、野中竜馬、中西重智の 5 選手が出場。今月初旬に行われたツール・ド・北海道に出場した阿曽圭佑、伊丹、野中に、ここまで調整を続けてきた阿曽光佑と中西が合流。翌週に控える J プロツアー 2 連戦に向けて、重要な位置づけの一戦となった。

スタートから次々とアタックが生まれ、3 ~ 5 人程度の逃げグループが形成されかけては メイン集団に吸収されるのがしばらく繰り返された。均衡が破られたのは、4 周回目の後半。6 選手が集団から抜け出しを図り、そのままレースをリードした。

 

 

先行したのは、中村龍太郎選手、豊田勝徳選手(ともにイナーメ信濃山形)、中井路雅選手(京都産業大学)、浜田大雅選手(EQADS)、森﨑英登選手(愛産大工高)、伊丹という メンバー。力のある選手がそろい、均等に先頭交代を繰り返しながらメイン集団に対し 15 ~ 25 秒のリードで進行した。だが、やがて浜田と森崎が遅れ、逃げグループは 4 人とな る。後方に控えるメイン集団もペースを上げ、前との差を縮めていく。

残り 10 周回を迎えようかというところで、逃げていた 4 人はメイン集団に吸収された。 すぐさま数選手がカウンターアタック。出入りが激しくなるが、ここで中井選手、中西健児選手(同志社大学)に KINAN 勢から中西重智が加わり、再び逃げグループが形成されたかに思われた。しかし、残り 7 周回となったところで先行していた数人に落車が発生し、 逃げは一旦崩れる。

 

 

それでも残り 周回で再び中井選手、中西健児選手、中西重智がリードを開始。ここに中井選手のチームメートである曽我部厚誠選手が加わり、人がメイン集団に対し 20 秒以上の差を得る。それでも、メイン集団は容認せず、次の周回でふりだしに戻る。集団が つになり、一瞬ペースが緩んだところで飛び出したのは、阿曽圭佑。勢いのあるアタックは、後続との差をグングンと広げていく。

 

 

次の周回に入ると、メイン集団から野中が抜け出し、阿曽圭佑に合流。KINAN 勢 2 人が 先行すると、その差は一気に 45 秒にまで広がる。後続も追撃を始めるが、先頭 2 人は十分なリードを保ったままラスト 1 周回の鐘を聞いた。

メイン集団では、中村選手や京都産業大学勢が懸命の追走。さらには中西健児選手がアタックで前方を狙う。レースをモノにしたかと思われた先頭では、残り半周を切ったところ で阿曽圭佑が遅れ、野中の単独逃げへと状況が変わる。こうなると勢いはメイン集団が勝る。

それでも、確保した貯金を生かした野中がトップで最終コーナーへ。フィニッシュ前の上り区間もクリアし、そのままフィニッシュラインを通過。第 3 戦、第 4 戦の総合優勝に続く、今シーズンのシリーズ 3 勝目を決めた。 レース中降り続いた雨の影響もあり、選手たちは一様にジャージやバイク、そして顔にも

多くの泥が飛んだ。戦いを終え、会場内の水道を使って水浴びをする姿が印象的だった。

 

 

2016 KINAN COUPE DE AACA 第 9 戦 1-1 クラス(112.2km、5.1km × 22 周回)結果 

1 野中竜馬(KINAN Cycling Team)

2 曽我部厚誠(京都産業大学)

3 伊丹健治(KINAN Cycling Team)

4 松井大悟(トンデモクラブ) 

5 吉岡優斗(立命館大学)

2016 COUPE DE AACA ポイントランキング(第 9 戦終了時)
1 野中竜馬(KINAN Cycling Team) 1232pts

2 ジェゾン・ヴァラド(ニールプライド・南信スバルサイクリングチーム) 768pts 

3 中村龍太郎(イナーメ信濃山形) 512pts

3 山本雅道(シエルヴォ奈良 MIYATA-MERIDA レーシングチーム) 512pts

 

■  KINAN COUPE DE AACAからアジア、そして世界へ

レースにおける積極性や、若手育成をコンセプトに据えるKINAN COUPE DE AACA。このほど、 このシリーズ戦において KINAN Cycling Team 入団を目指す選手のトライアウトと、 UCI2.2 クラスのステージレースであるツール・ド・熊野で特別編成されるチームの選手選考を継続して行うことが決定。7 月に正式発表された。

今年 6 月のツール・ド・熊野では、本シリーズに参戦経験のある大学生から 6 選手が選考 され、選抜チームとして出場。小玉凌選手(中京大学)が唯一最終ステージまで残るなど (最終ステージでリタイア)、学生選手にレベルの高い UCI レースを体験させる場が設けられた。

この取り組みが一定の成果を挙げたことにより、今後もツール・ド・熊野出場を賭けた選手の選考と、さらには UCI アジアツアーやヨーロッパツアーを主戦場とする KINAN Cycling Team のスカウティングの場として、KINAN COUPE DE AACA が活用されることとなった。

シリーズのねらいにあるように、レース順位よりも、プロ選手が多数出場する中でどれだけ果敢な姿勢を見せられるかが重要視される。

対象はアンダー 23(23 歳以下)の選手に限定。1−1カテゴリーの出場申込時にトライアウト希望の意思表示を行うだけで、候補選手の 1 人となることができる。

 

■大好評のレーススキルアップ講座 今回のテーマはストレッチ

KINAN Cycling Team の選手が講師を務める、レーススキルアップ講座。レース前後の ライダーたちがその場で無料参加でき、すぐに実践できるのが大きな魅力だ。

今回のテーマは「ストレッチ」。故障を防ぐために必要な、ライド前後で行うストレッチ や、体幹を鍛えるトレーニング方法を KINAN の選手が直々にレクチャーした。

 

参加者からの質問も多く寄せられ、それにプロ選手たちが丁寧に答えてくれるのもうれしい。講座を終える頃には、参加者からストレッチ用のマットやバランスボールをすぐに買って取り組みたいといった声が聞かれた。

1回のペースでレース開催される「KINAN COUPE DE AACA 」。次戦 は10月16日(日)にいなべ市梅林公園・特設コースにて実施される。全国各地からのエントリーも増えており、今後もさらなる盛り上がりに期待がかかる。エントリーについては、レース公式 Web や SNS にて告知される。